(魔法少女リリカルなのは フェイト・T・ハラオウン)


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ミッドチルダ郊外にある如何わしいグッズショップ。
R18の電子端末漫画から変態後用達のアダルトグッズまで様々なものを扱っている。


この店の主人は今日も退屈だった。
なにせ、需要があるとはいっても、目が回るように忙しい状況など
扱っている商品の特性上ありえないからだ。


常連客といえば、皆声など発せずだまって商品をカウンターに
持ってくる奴ばかり。まぁ、変にハイテンションでも困るのだが。

そんな常連客にも気心が知れれば、ある程度世間話に応じてくれる奴もいる。
店を閉めようかと考えていた、午前2時を過ぎた頃。
いつもの常連客の一人が来店した。彼は比較的、他の客よりは饒舌だった。
今日は数少ない会話の機会に恵まれるラッキーな1日のようだ。

「よう、景気はどうだい?」
「まぁ、良くはねぇな」
「なぁ、この会話のやり取りの後、シャイニングにそっくりな双子に
 殺されるって事はねえよな?」

「……お前さん、最近ブラッ■ラグーン読んだだろ?
 だいたいなぁ、漫画みてぇな展開なんて、そうあるもんじゃないぜ?」
「分からないだろ?虚構と現実の狭間なんざ誰にも分からないのさ。
 そのうち扉を叩いて、リアルとは思えない何かがやってくるかも…」


カラン!

その瞬間、店に来客を告げる音が響いた。
二人がビクッとそちらを見やると、そこに真っ黒い喪服を着た双子……
ではなく、美しいブロンドヘアーの女性が一人立っていた。
彼女は虚ろな表情で店内を見やると、奥へフラフラと入っていく。
その奥には、女性用のアダルトグッズが置かれている売り場だ。
それを見ると客が慌てて、店主に耳打ちした。

「(おい、まずいぞ、あの顔見覚えがある)」
「(あの女を知ってるのか?)」
「(管理局だよ、時空管理局!確か、犯罪捜査のプロで、
  名前は…、そうだ、思い出した!フェイト・T・ハラオウン、
  この前、時空管理局密着24時ってテレビに出てたぞ!
  なにやらかしたんだよ?)」

「(なにって何もしてねぇよ!
 だいたい、時空管理局のお世話になるような事は一切何も…)」


と言い掛けたところに、当のフェイト執務官がカウンターへと近づいてくる。
ゆっくりと、ゆっくりと…

「あっ、い、いらっしゃいませ〜、今日はどんな御用で…」

明らかに引きつる顔を悟られないようにしながら店主は
出来うる限りのフレンドリーな笑顔で答えた。
何がラッキーな1日だ。もしかしたら、俺の人生、今日で終わりかもしれない…

「…これ、ください……」

彼女は無造作な動作で、カウンターに商品を置いた。
いや、置いたというよりは手からこぼれ落ちた、と言った方がしっくりくる。

「あの、これって…」

店主は絶句した。
女性用のボンデージに、更にはスリングショット水着。
今、これを買うと…、確かに彼女はそう言った。
表情は無表情。
その瞳はどこまでも虚ろで、まるで何も見ていないようだった。




「ありがとうございましたぁ!」

店から、フラフラと出て行く彼女の背中を呆然と見送りながら、
店主はゆっくりと溜息をついた。事の一部始終を一緒に見ていた
常連客が溜息をついたのもほぼ同時だった。

「なぁ」
「なんだよ」


互いに顔を見合わせ、一瞬の沈黙。
考えている事は同じらしい。

「だから言ったじゃねぇか…」
「あぁ。あるもんだな、漫画みてぇな事」


結局、彼女がこれからどこに向かい、どんなプレイに勤しむのか。
AVよろしくな展開となるのか、はたまた…
それは二人が予測したところで、妄想の範囲を脱する事はない。
結局、その場に居合わせたこの二人にも分からない事だった。



翌日。
この店の主人は今日も退屈だった。
昨日はちょっと特別な事があったが、今日は至って普通の1日だ。
だが、退屈でも平和なのが一番なのである。
管理局と関わり合うような特異な出来事などノーサンキューだ。
でも、ちょっとだけ気になる事もある。

「そういえば昨日の女執務官、あの後どこに行ったんだろうなぁ?」


時計の針が遡る。

あの後フェイトは……


1 : 犯罪捜査の際に見つけた時空犯罪者のアジトへ(洗脳ルート)

2 : 闇の書の残滓が潜んでるとされる館へ(憑依ルート)



route A  1P  2P  3P  4P  5P  6P  7P  8P
route B  1P  2P  3P  4P  5P  6P  7P  8P
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