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5 フェイトは虚ろな目のまま、ぼぉ〜っしている。 だが、瞳に宿る様相が先程までとは違った。 どこか禍々しさが漂う釣り目がちな瞳を 眠そうにこちらへと向ける。 「さぁ、君は生まれ変わった。忠実なる我がシモベ、 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」 「はい…、ご主人様」 抑揚のない声で答える。 そこには新たな存在へと転生したばかりの無垢さが宿っていた。 だが、すぐに彼女は変化していく。 生まれたばかりの雛鳥は初めて見た存在を親だと信じ込む。 あたかもその『刷り込み』を模すかのように。 「んふぅ……」 妖しく艶やかな吐息を奏でるその唇に。 新たに生まれ変わったシモベに。 私から洗礼を与えよう。 ■次へ■ |