3 改変「かいへん」

紅月が照らし出す本局の廊下。
フェイトは少しヨロメキながらも、
『彼』を逮捕するために、防衛長官室へと向かっていた。


「(体が…あつい…、本当に風邪、引いたのかな……)」

集中力が途切れそうになる程、気もそぞろで
口元からは熱い吐息が絶え間なく漏れている。


「はぁ…、はぁ…、はぁ…、ん…、でも、がんばらないと…
 はやてを早く安心させてあげない…と…」


彼女には聞こえていないのか?
ジジジ…………………と、一定のリズムで鳴り続ける奇妙な音が。
そう、フェイトには聞こえていない。
自分の下腹部を振動させる、あの音が……





漆黒の闇に包まれた防衛長官室。
『彼』はゆっくりと高級そうな椅子に悠然と腰をかけた。

全ては計算どおりに事が進んでいる。

まず『彼』はわざと前の体だった神楽のぞみの抜け殻を目につく所に放置した。
本当は体ごと吸収できるにも関わらず、だ。
それにより、この一件は事件性を持ち、
結果として執務官である彼女が動くことになった。

そして、この1週間で彼女への下地作りはほぼ完成していた。
後は彼女がこの部屋に来るのを待つだけである。
それにより、あの美しい執務官は闇の使徒へと生まれ変わるだろう。

『さぁ、儀式を始めよう。新たなる下僕の誕生を祝う儀式を…』

防衛長官室の扉が開く。
暗室のように明りが消えた部屋に廊下の光が差し込み、
その逆光を背にして、一人の女性が立っていた。


「本局執務官フェイト・T・ハラオウンです。
 貴方に神楽のぞみ三佐殺害の件で逮捕令状が出ています。
 大人しく御同行願えますか?」


インパルスフォームに身を包み、凛とした声で宣告するフェイト。
それは正に法の番人と呼ぶに相応しい凛々しい姿だった。
『彼』はゆっくりと椅子に座ったまま、彼女の方へと向き直る。


『待っていたよ、フェイト執務官。むしろ遅すぎるくらいだ。
 だが来てくれて嬉しいよ。
 何故なら…、君はこれから私の部下になるのだからね』


フェイトにとっては追いつめた状況のはずだった。
しかし、目の前の男は悠然と構えている。


「!?何を言っているのです。私が貴方の部下に?そんなことは…」
『その前に、少し余興を楽しまないかね?
 君に見せたい物があるのだ』


そう言うと『彼』は一枚のディスクを取り出した。

「それは…、取調べを記録した…
 何故貴方がそれを持っているのです!?まさか証拠を隠滅するために…」

『何を言っているのかな?これを渡してくれたのは君自身だろう?』
「訳の分からないことを!やはり、貴方は!!」
『まぁ、そう興奮せず、中身を見てみようじゃないか。
 面白いものが見れるかもしれないだろう?クククッ』


そのままディスクが挿入されると、横手にある大画面に映像が映し出される。


「そ、そんな…、これは…何?」


フェイトには、そこに映し出された映像の意味が理解できなかった。
一人のブロンドヘアーの女性が執務官の制服姿のまま、淫らな姿勢を取っている。

その女性は取り調べ用の机の上で、大胆に股を全開にしながら、
ストッキングの内側にある黒いショーツの上を何度も…
淫らな動きで指を這わせていた。

その瞳には生気が宿っておらず、その先に座る『彼』を見下ろしている。
丁度、開いた股の間の先に『彼』が座っており、まるでストリップショーを
行っているかのような様相を呈しているが…
彼女の口調だけははっきりとしており、強い語調で尋問している。


『答えて下さい!貴方は2月16日の夜、どこにいましたか?』
『さぁて、どこだったかな?』

瞳に輝きはないが、彼女の表情が変化する。
怒気がこもっているような表情、
しかし、それと同時に這わせる指は早くなっていく。
既にショーツがグショグショに濡れているのが
ストッキング越しにも分かるほどだ。


『んんっ、はぐらかさないで下さい。あぁっ、貴方にこの時間、アリバイがないのは
 んぁぁっ、分かっているんですよ?』

『この夜、私は防衛長官室で、神楽三佐を待ったいたんだよ。
 最後まで彼女が訪れる事はなかったがね…』


指使いが更に淫らに変化する。ショーツの上からもはっきりと分かるくらい
クリトリスが勃起しており、彼女の指がクリクリとその上をなぞっている。


『んっ…、貴方はご自分の部下が、あぁんっ、亡くなっている事を、んはぁっ!
 どう思っているんですかぁ、んっ、んんっ、はぁぁっ』

『彼女が亡くなった事は非常に残念だと思っているよ。
 出来れば代わりの有能な部下を、今すぐにでも欲しいくらいだね』

『あぁぁっ!あはぁっ!あなたと…いうひと…は…、はぁぁん!』

腰を前に突き出し、見せつけるように『彼』の目の前で指を這わせ続け…
表情は怒りの表情のまま、しかし体は意に反するように自慰を続けている。
そのギャップが淫らというよりは滑稽な様相を呈していた。


『あぁぁっ、あぁぁん!あなたを…、ぜったいにぃ…、ひやぁん!
 たいほぉ、んぁぁん、するんだからぁぁぁぁ!
 あぁっ!あぁっ!あぁぁっ!』


ビクンッ!ビクッ!ビクッ!ビクゥゥ!!!

映像の中の彼女はそのまま絶頂を迎えた。
その顔を見間違えるはずはない。自分自身の顔。
本局執務官フェイト・T・ハラオウン、本人の姿だった。



「な…、なんで、こんな?違う、こんな映像、違う!!!」
『だが、この尋問の内容は覚えているだろう?
 どのような姿勢で行っていたかまでは、覚えていないようだがね』

「え、映像に音声を当てはめれば、このくらいは作れるはず!!
 こんな映像を捏造するだなんて、何て悪趣味な!」

『捏造、ね。では別の日も見てみようか』



同じく取調室。今度は別のアングルの映像が映し出される。
『彼』が椅子に座っており、その上にフェイトが覆いかぶさっている。


『貴方の口内を取り調べます!
 さぁ、口を開けなさい、開けないと公務執行妨害で逮捕しますよ!』

『ククッ、それは怖いな、では大人しく従うとしよう』

映像の中のフェイトは『彼』の両頬を自らの両手で包み込むと、
唇を近づけ、大胆に舌を差し入れ始めた。

チュゥゥ、チュゥ、れろぉ、んぉ…、チュッ、チュル……

その瞳にはやはり生気は宿っておらず、輝きのない虚ろさだが
表情はどこか傲慢さが伴い、サディスティンな面持ちを感じさせる。


『んぁぁ…、今度は舌を取り調べます!舌を突き出しなさい』
『あぁ…、いいだろう』

れろぉ、んぉ、んぉ、んぉ、んぉ、んぉ……
変態執務官と化したフェイトは更に舌に吸いつき、
フェラチオの要領で舌を唇で扱いていく。

更に彼女の右手が今度は『彼』の一物へと伸びていく。
白く美しい手がしなやかに動き、
サワサワとズボンの上からペニスを淫らに撫でている。


『何なの、この硬いモノは?今度はこちらを取り調べます!
 隠すとためになりませんよ!?』

『執務官権限だ、好きに調べたまえ』

そのままフェイトはジィーっとズボンのジッパーを下ろし、
中から彼のペニスを取り出すと、淫靡な手つきで手コキを始めた。


しこ、しこ、シュッ、シュッ、しこ、しこ、シュッ、シュッ…

白く細い指がペニスを包み込み、何度も皮を上下させる。
更にもう一方の指でカリ首の下をサワサワと刺激、
裏筋にも指を這わせていく。

攻めに興じる喜びに興奮が収まらない、
そんな熱っぽいサディステックな面持ちで、執拗なまでにフェイトの愛撫は続き、
上気した淫靡な表情が上目遣いに『彼』を見つめている。
しかし、輝きのない瞳のせいか、その表情は操り人形を髣髴とさせ、
その場の主導権を本当は誰が握っているのかを暗に示しているようだった。


『フフッ、流石はフェイト執務官、良い仕事をしてくれる。
 そろそろだが、いいかな?』

『執務官の制服を汚す事は許しません!
 出すなら、私の口の中に出しなさい!』

そういうと、フェイトは『彼』のペニスの真下で首を上に向け
口をパックリと開けて舌を突き出す。


『あ〜〜………』

その唇に、その舌に、その口内に。
白いスペルマが注がれていく…
どぴゅぅ、どぴゅぅぅ、びゅくぅぅぅぅぅぅぅ……

目を細めて、嬉しそうな表情でそれを受け止めるフェイト。
その姿は正に『変態』と呼ぶに相応しかった。



「う、うそ…、こんなの…、うそ………」
『始めの動画は2日目、怒りを感じるほどに
 オナニーがしたくなるように、君に暗示をかけた時の物だ。
 そして、次の動画は6日目だな。
 常識改変によって、変態執務官様の取調べを演出してみた。
 フフッ、あれが正しい取調べだと誤認している君はとても愛らしかったよ。
 宜しければ、他の日の取調べの様子もお見せするが、如何かな?』

「………ひ、ひどい!あなたは…、貴方はどうして、こんな酷いことを!!」
『だが気持ちよかった、だろう?』
「!?」
『ついでに、君が見つけた証拠とやらも存在しない。
 もちろん逮捕令状もね』

「そんな!……えっ?嘘、令状のデータが…ない!どうして!?」

捜査が始まってから全て、暗示による誤認でフェイトは操られていたのだ。
もちろん、初めから逮捕令状など存在しない。
全ては『彼』が作り出した幻なのだ。


『今の君は職権乱用な上に、防衛長官の部屋を土足で進入した
 反逆者ということになるが?』


その挑発的な言動とは裏腹に『彼』の体から部屋の暗がりよりも濃い
漆黒の闇が滲み出す。ウゾ…、ウゾ…と不気味な音を立てて。


「!?…貴方は、やはり防衛長官じゃない!」
『ご名答。
 たかが人間如きが、君ほどの手練れを人形のように操れる訳がないだろう?』

「だったら令状なんて要りません!ここで貴方を滅します!!」

フェイトは素早くバルディッシュを構えると、臨戦態勢に入る!
しかし、『彼』の方は悠然と構えたままだ。


『やってみたまえ。できるものならね…』

相手は得体の知れない存在。長期戦は不利になるだろう。
ならば、この一瞬で勝負を決める!
フェイトはバルディッシュをザンバーフォームに変化させる。


「いくよ、バルディッシュ…」

金色に輝く、聖剣の如き魔力刃と共に、
フェイトは素早く目の前の敵に踏み込んだ!
 
しかし…
彼女の踏み込みは『彼』の前で突然失速した。
バルディッシュの魔力刃も維持できずに掻き消え…
そのまま、よろめくように床にへたり込んでしまった。


「そんな…、どうして?体が…、んんっ、んあぁぁっ!!」

先程までにはない感覚。
ジジジ……………という音も聞こえてくる。


「うぅっ、何?これは何なの?
 私の、中に…、何か…入ってる…んん……」

『昨日の事も忘れているようだね。
 まぁ、忘れるように暗示をかけたのは他ならぬ私だが』

「貴方は…私に…何を…」
『これだよ』

『彼』の手には、何かのスイッチのような物が握られていた。

『これ自体は下らないオモチャだがね。
 それでも君には堪らない代物だろう?
 どれ、では感度を更に上げてみようか』


ジジジジジジジ………、音が更に大きくなる。

「あぁぁっ!だめぇ、やめ…、あぁぁぁぁぁん!!」

霞む視界、急激な快楽が全身を反響するように覆っていく。
思わずフェイトが下腹部に目をやると…
彼女は我が目を疑った。

何も穿いていない。
更に膣内の中に何かが入っている。


黒く太い、艶光するバイブ。



「!?うそ…、何これ…?あぁぁぁっ!あぁんっ!
 どうして?さっきまで、あぁんっ!何も感じなかったのに……」

『君がバルディッシュを戦闘モードに切り替えた時に
 バイブの感覚を思い出すように暗示をかけていたんだよ。
 君は昨日から、その太い物を咥え込んだまま…
 何度も絶頂を迎えていたんだ』

「あっ!あぁぁ…、そんな…、はぁぁんっっ!」
『しかも、私が合図するまで快楽は体に溜まり続け、
 絶頂の悦楽を放出できないようにしてある。
 私の合図で、昨日から今この時間まで君が迎えた絶頂は
 一気に開放されるだろう』


今でも凄まじい快楽がフェイトを襲っているのだ。
これよりも凄いモノが、それも一日分溜まったモノが一気に開放されたら…


「!?だめ…、やめて……!そんなこと…されたら…あぁ!あぁっ!」
『フフッ、待ちに待った時間だろう?さぁ、フェイト』


『いきたまえ』


パチンッ!
彼が指を鳴らすと……


「あぁぁぁぁぁぁぁっっ!!あぁあっ!あぁぁっ!はぁぁぁぁぁっっっ!!」

ビクゥゥゥゥ!!ビクゥゥ!!ビクビクビクゥ!ビクゥ!ビクゥ……

あまりの快楽にフェイトは白目をむいて仰け反る。
口元は甘く笑みを浮かべたように弛み、舌をだらしなく突き出し……
脱力したようにグッタリと、そのまま床に仰向けに倒れこんだ。


■ 次のページへ ■  ■ 戻る ■ ■ INDEX ■