(魔法少女リリカルなのはStrikerS キャロ・ル・ルシエ)
SS原作 : バーランダー様


■7

『プリマヴェーラ、あなたの手を御覧なさい。
 これがあれば、前よりもっと凄いモノを召喚できるわよ〜。
 それに、衣装も今のあなたに相応しいものになっているわ』


少女が緩慢な動きで手元に視線を送ると、そこには
かつてケリュケイオン『だった』ものが、紫色の邪悪な光を湛えている。

『深淵の邪黒龍を呼ぶと言われ、封印されていたロストロギアを元に
 魔力情報を組みかえておいたわ。さぁ、その不完全なセットアップを
 自らの意思で完成させるのよ!』


『はい、クアットロ様…』


崇拝し、心酔しきった表情そのままに、クアットロの指示に従って
かつてキャロと呼ばれていた少女は、嬉々としてセットアップを行う。
それが、今までの自分に止めを刺す行為であることにも気づかずに…

『カドゥケイオス・セットアップ…』

するとたちまちに漆黒の魔力光がキャロを包み込んだ。
 

形成されるのは、露出度が高い黒のバリアジャケット。
胸と下腹部が半透明のフィルムような形状となり、
淫靡に露出して未成熟な身体のラインを浮き出させる。

『よく似合ってるわよ、プリム。ご褒美にもっと綺麗にしてあげる』

クアットロは軽く髪を愛撫しつつ、プリムの唇に紫色のルージュでなぞる。
禍々しい化粧を施されたキャロの相貌は、年齢に不相応な妖艶さを漂わせ
かつての清純さとは間逆の美しさを際立たせる。
 

『とても似合っているわよぉ、プリム…』
『ありがとうございます…クアットロ様。褒めていただけて幸せです』
『これで今日からあなたは、ただの召喚士ではないわ。
 破壊と混沌を深遠をより呼び出す「邪龍召喚士」』

『はい、わたしは邪龍召喚士プリマヴェーラ。
 クワットロ様の名の下に、破壊と混沌を呼び出すもの…』

 
クアットロに与えられた力と衣装に身を包む幸福に、
少女は心から嬉しそうな微笑みを浮かべている。


もう、少女の中にキャロ・ル・ルシエとしての心は存在していない。
ここにいるのはプリマヴェーラという名の邪悪なるシモベ。
クアットロが始めに宣言した言葉のままに…
キャロという少女の存在は死を迎えた。

そして…
完全なる転生は、ここに完遂された。 

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