我は札を用意すると、それを萃香の下腹部に貼りつけた。
そのまま、印を結び念じると…

我の視界が少しずつ変化していく。
目の前が揺らめくように明滅を繰り返し、
次第に眼前の萃香が薄れ、印を結ぶ我の姿が見えてきた。

その視点は萃香の視点。
次第に視界がはっきりとし始めると、
少女の息遣い、柔らかな肌が自らの感覚となり
くすぐる様な良い香りが自らから発せられているのを感じた。

我の唱える祝詞が自然と萃香の口から漏れ始め、
唇の感覚も転写されていくのが実感できる。

そして、どさりと…
男は倒れた。
かつて、我だった者の体。

我は何の感慨もなく、それを見つめていた。
この場に他者が居合わせたならば、少女が一人
男が倒れているのを虚ろな瞳で見やっている状況に映る事だろう。

過去の体になど、もはや興味はない。
あぁ、しかし何と素晴らしい事か!
この少女の体は若さと軽やかさ、力が満ち溢れている!
声帯からもれる声は美しくも幼い声。
その声で我は宣言した。

『あはは!成功だ!萃香よ、お前の体は我が肉体となった!』

■次へ■